第四十二回「琳派百図展」開催に当たり、ご挨拶申し上げます。
琳派とは江戸期元禄のころ、豊かな才能をもって登場した画家、尾形光琳の名にちなんだものであることは、
広く世に知られているところであります。
この琳派は慶長の頃、一六一五年・元和元年に本阿弥光悦が京都洛北鷹峰に光悦村を拓き、光悦、宗達の創始により、江戸中期の尾形光琳が発展させ、酒井抱一が継承した美術史上最も注目される流派であります。
その伝統は江戸期に終わらず、明治大正期の神坂雪佳、そして加山又造に引き継がれ、今もその存在価値は大きなものがあります。
琳派が誕生した元和は「元和偃武」と言われ、平和が求められた時代であり宮廷では新しい文化が花開きました。
さて、本年は琳派が創始された元和元年から令和元年へ【感性を受け継ぐ新琳派の創造と伝承】新元号・新時代にふさわしい新琳派の創作に挑戦いたしました。
歴代の琳派作家の意匠に次なる意匠を暗示するものがあり、琳派は原点から新しい琳派へ次々と開拓されてきました。
近年、生活様式の変化により、伝統的な染色工芸技術の伝承が難しくなっている昨今ですが、琳派を研究し再現することはまさに新たな染色工芸の可能性を拓く事であることは申すまでも有りません。
本展で発表いたします作品の数々は、本年も磨き抜かれた技術と感性を余すことなく発揮した新たな感覚で光彩を放つ秀作の数々で、多くの皆様にお楽しみいただけるものと確信しております。
なお末筆ながら、この催しに多大なご協力を賜りました近畿経済産業局・京都府・京都市をはじめ、
多くの関係団体に厚くお礼申し上げます。
このほか、多くの作品を展示しております。